SONY

順天堂大学様
画像診断の最先端研究にNNCを活用!
医用画像を用いた学習モデル

業界
医療
ユースケース
医用画像の診断補助を行う学習モデルの構築
概要
  • 頭部MRIや脳核医学検査(脳血流)でのアルツハイマー病と他認知症疾患の鑑別
  • 医用画像の画質向上(超解像、ノイズ低減)
  • 脳MRIでの急性期脳梗塞病変検出
  • 胸部のCTでの新型コロナウイルス肺炎の病変検出
  • MRIの医用画像から脂肪信号を除去して、病変を検出
  • 乳幼児の頭部MRIから、年齢推定し、発達遅延の早期発見
効果
  • 画像診断時の補助
  • 医療で実際に使うことができないため学会発表のみ
    →日本磁気共鳴医学会の展示ポスターが大会長賞受賞(2019年)
    →日本磁気共鳴医学会英文誌(MRMS)の掲載論文が最優秀論文賞受賞(2019年)
入出力データ
医用画像:DICOMデータをTiff or PNGに変換して(8ビットグレイスケール)使用
NNC選定理由
  • プログラミングの知識が不要
  • 応用が簡単
  • 開発者とユーザーの距離が近い

Neural Network Consoleでの本格的なAI開発を検討される方はサービス資料をご覧ください

医療におけるAI開発が与える社会的インパクトはとても大きい予想されます。画像診断の研究を行う上でNeural Network Console(以下NNC)がどのように利用されたのか順天堂大学の医学部放射線科の和田先生にお話を伺いました。

順天堂大学 医学部放射線科
和田 昭彦 准教授

先生の研究内容について教えてください。

和田先生:医用画像の診断(画像診断)を行っています。 主に脳神経領域において、CT・MRI・核医学の画像診断補助を目的とした研究をNNCで行っています。 具体的に、頭部のMRIや脳血流のデータからアルツハイマー病と他の認知症疾患の鑑別するAIの開発や医用画像の画質向上、脳梗塞病変の画像検出、画像内の脂肪部分を除去して病変を明確にさせる画像変換等、多岐にわたって研究を行っています。 現時点では、法律の問題で医療機器プログラムとしては実際に医療に用いることができないため、自分の業務(画像診断)の思考過程をシミュレートする、あるいは作業を効率化する学習モデルの構築を行っています。

ありがとうございます。医用画像の画質向上とはどのような研究でしょうか?

和田先生:診断精度を向上させる目的で、AIを利用して、MRIやレントゲン写真等の医用画像の画質向上やノイズを減らす研究を行っています。 例えば、MRIを行う機器は医療機関によって磁場強度が異なるため画質が異なります。 そのため、低画質な画像を高画質に変換する研究を行っています。 教師データは高画質な画像にノイズを加えて低画質な画像を作り出すなど工夫して用意しています高磁場強度の機器を用いれば鮮明な画像が取得可能ですが、機材導入にコストがかかってしまうため、低画質な画像を高画質に変換することでコストをおさえつつ鮮明な画像を取得することが可能です。

医用画像の画像変換についても教えてください。

和田先生:画質向上同様に、診断精度を向上させる目的で、画像変換を用いて、病気の部分を明瞭にする研究を行っています。 例えばMRIのT2強調像という撮像法では炎症や腫瘍のような病気の部分と正常な脂肪の部分がいずれも白く映ってしまうために、AIで脂肪だけを排除して病気の部分だけ見えるようにしています。 脂肪信号抑制の撮像を別に追加することで、脂肪を除去した写真を撮像することも技術的に可能ですが、AIを用いると1回の撮像で脂肪抑制画像を得られるため、検査時間を短縮して患者さんの負担を軽減できます。 方法として、すでに撮像した脂肪信号抑制画像を教師データとして、AIで通常の画像から脂肪の部分だけを取り除いて病変部を明瞭化するモデルを作成しています。 NNCにあるサンプルプロジェクトをアレンジするだけなのでとても簡単に作成ができました。 MRIは優れたコントラスト分解能で病気を診断しているので多くの診断で応用可能な研究だと考えています。

ご自身の業務の思考過程をシミュレートするとは具体的にどのようなことを行われているのでしょうか?

和田先生:診断における自分の思考をAIで再現できるか試しています。 医師が行った判断同様にAIも同じ判断にたどり着くことができるか研究しています。 例えば、認知症のMRIを診断したとき、アルツハイマー病かそれ以外の病気か判断しますが、それと同じ診断をAIで行えるか研究しています。

和田先生

NNCを利用されたきっかけはなんでしょうか?

和田先生:もともと、放射線科の画像診断医としての経験を元に自らの診断過程をシミュレート、もしくは診断を補助するシステムを作ってみたかったのが動機になります。 当初は、Pythonで書かれたディープラーニングのライブラリであるKerasを勉強していましたが、プログラミングの学習に時間がかかることに加えて、バリエーションを広げることが難しく他によいツールはないかと考えていました。 NNCを見つけたのは、他の方がNNCを利用された記事を読んだことがきっかけです。 その後、自分でも模倣してAIのモデルを作成したりセミナーに参加したりして勉強しました。 NNCは、バリエーションを広げることが簡単で、サンプルプロジェクトや他の人が作成したものをまねるだけでモデルの作成ができました。 また、エラーの原因がわかりやすく開発に集中しやすかったことも利用を続けている理由になります。 他にも、ユーザコミュニティを利用して、最先端の技術を持った開発のプロフェッショナルの方とコミュニケーションが図れることも非常に魅力的です。

開発で苦労された点はございますか?

和田先生:そもそもディープラーニングの知識がゼロの状態で開発を始めたため基礎知識の習得が大変でした。 そのためNNCの操作に関してはセミナーがとても役立ちました。 また、研究を開始するにあたって、医用データの利用は個人情報の観点から厳重な管理が必要なため、病院の倫理委員会の承認が必要で、研究を行うまでの準備が大変でした。

実際に開発されたAIのモデルはどれくらいの精度が出るのでしょうか?

和田先生:研究内容によってさまざまですが、例えば、脳ドックなどでよく用いられている隠れ脳梗塞とも呼ばれる虚血病変の重症度分類に関して医師5名とAIとで、単純に分類が合致するかテストを行ったところ、正解率(合致率)は医師が約70%弱、AIが約75%と医師と同じぐらいの精度で診断することができました。 また、特筆すべきは、別の日に再度同じテストを行った際の再現性は、医師が約65~70%、AIが約95%以上と、再現性の観点で言えば、AIの精度が圧倒的に高い結果となりました。 人の場合、同じものを見ても違うと感じてしまうことがありますが、AIの場合、同じものであれば同じであると判断します。 その点で人よりAIが優れているといえます。 主観による影響でやや不安定になりがちな人間の判断を、客観性・再現性の高いAIで補助できるようにすれば、精度の高い診断補助モデルが作成できるのではと考えています。

今後の展望について教えてください。

和田先生:我々放射線科医は、CTやMRI、核医学などの様々な検査の画像を全身の領域で診断していますが、これをAIで補助することで診断精度をさらに向上させられると考えています。 NNCはアイデアを実現しやすい開発環境だと思いますので、今後もNNCを使用した画像診断の研究に取り組んでいきたいと思います。

Neural Network Consoleでの本格的なAI開発を検討される方はサービス資料をご覧ください

Cloud版ではInternet Explorerには対応していません。
Google Chromeをお使いいただくか、
こちらよりWindows版をダウンロードください

処理中に問題が発生しました。しばらく経ってからもう一度実行してください。

サインインアカウントの選択

Neural Network Consoleで利用するアカウントを選択してください。
Google、Sonyどちらのアカウントでも同様の機能が利用できます。