ディープラーニングを使う際のメモリ不足を解消する方法|GPUなど必要スペックの紹介
ディープラーニングを使う際には大容量のメモリが必要です。メモリの不足は、非常に大きな問題となります。この記事では、ディープラーニングになぜ大容量のメモリが必要となるのかを解説した上で、メモリ不足の解決法などを紹介します。メモリ不足を解消し、ディープラーニングを使える環境を整えるための参考にして下さい。
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目次
ディープラーニングとは?
ディープラーニングとは、AIの機械学習を発展させた革新的技術として導入されている学習方法のことです。ニューラルネットワークを使った学習方法で、AIを構成するアルゴリズムとして用いられています。ディープラーニングを行うことで、従来は難しかった音声・画像データからも特徴を自動的に発見し、それぞれのデータを判別できるようになりました。
ニューラルネットワークとは?
ニューラルネットワークとは、人間の脳にある神経回路(ニューロン)を人工的に作り出したものです。ニューラルネットワークには、データを入力する部分(入力層)、データを変換する部分(隠れ層)、変換されたデータを出力する部分(出力層)があります。データ変換部分が多層になれば、精度の高い処理が可能となります。
ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングは、入力層・隠れ層・出力層の3つの層からなるニューラルネットワークを用いることで行われます。隠れ層には多種類の関数が組み込まれており、入力されたデータの特徴を自ら認識・学習します。
犬の画像を認識させる場合、従来の機械学習では、人間が犬の特徴を入力する必要がありましたが、ディープラーニングでは、データを入力するだけで、自動的に犬の特徴を抽出できるようなります。
機械学習との違い
ディープラーニングは、機械学習を発展させたもので、データを入力することで、与えられた課題に対する予測・判断を行うといった点では同じです。異なる点は、ディープラーニングの方が、データを分析する手法がさらに高度化していることです。
機械学習では、犬・猫など識別すべきデータの特徴を人間が入力しておけば、犬と猫を認識できます。ディープラーニングでは、犬・猫の大量のデータを入力するだけで、それぞれの特徴を自動的に抽出し、犬と猫を分類します。
ディープラーニングはメモリ不足に陥りやすい
ディープラーニングは、画像などのデータを大量に読み込んで処理するため、膨大なメモリが必要となりGPUのメモリ不足に陥りやすいです。画像を高速で処理し、複数の計算を同時に行える環境が必要となります。
ディープラーニングに必要なGPUとは?
GPUとは、画像処理装置のことで、画像処理を高速に行うことに特化しています。通常のパソコンには高性能なGPUが搭載されていないことが多いため、ディープラーニングを行う際には、やや高価なパソコンを購入する必要があります。
GPUとCPUの違い
GPUは、画像処理に特化した半導体チップであり、CPUはパソコン全ての動作を制御するためのチップです。CPUは、人間でいえば頭脳部分にあたり、汎用的に複雑な処理が行え、GPUに対しても処理命令を出します。どちらも、計算処理を行いますが、GPUは計算と画像処理を同時に高速で行えるため、ディープラーニングの学習に大きな影響を与えます。
GPUの活用で学習時間が減る
GPUは、画像処理と演算処理を同時に処理できるため、ディープラーニングする学習時間が減らせます。CPUのコアは多くても数個ですが、GPUのコアの数は数千個あり、CPUの数倍~100倍以上の計算速度が速いです。コア数が多いほど、同時に行える処理が多くなります。
GPUメモリが不足すると学習できない
GPUの性能が悪い場合は学習速度が遅くなるだけですが、メモリが不足すると学習そのものができなくなります。GPUのメモリが少ない場合は、一般的な機械学習にとどめざるを得ないです。ディープラーニングに必要な環境を整えるためには、十分なメモリを用意しましょう。
ディープラーニングに必要なスペックとは?
ディープラーニングを行うためには、GPU・CPU・メモリ・ストレージのスペックに注意しましょう。ここでは、ディープラーニングに必要なパソコンに必要なスペックについて解説します。
GPU
GPUのメモリ容量は大きいほどよいですが、最低6GBできれば8GBを目安に選定しましょう。ただし、メモリ容量が増えるほど価格が高くなる傾向があります。演算処理能力はスコアが公表されているため、目的に合わせてシリーズ・型式を選びましょう。ディープラーニングに必要なライブラリやフレームワークをサポートしている、NVIDIA製のGPUがおすすめです。
CPU
ディープラーニング以外の処理はCPUで行うことになり、学習時間に影響します。Intel Core i5以上の性能、Intel Core i7・i9・Xeonシリーズなど、できるだけ最新のものを使いましょう。古くて性能が低いCPUでは、GPUの機能を最大限に使いきれません。
メモリ
メモリはGPUに次いで重要で、メモリが不足すると学習速度が遅くなります。ディープラーニングを行う際に、入力されたデータがメモリに保存されるため、大容量のメモリを用意しておく必要があります。メモリ容量は、32GB以上、できれば64GBが必要です。メモリ周波数も処理速度に関係するため、大きいほど学習時間が短縮されます。
ストレージ
ストレージはディープラーニング自体には直接関係ありませんが、学習で使う入力データや学習結果の保存をする媒体として非常に重要です。データ読み取り速度、保存容量も考慮して選びましょう。ストレージにはSSDとHDDの2種類があります。SSDはデータの読み取り速度が速いですが、価格が高めです。HDDは容量が多く低コストですが、読み取り速度が遅いです。
クラウドGPUの導入によるメモリ不足の解消
高品質のGPUは高額なので、クラウドサービスの活用も考えてみるとよいでしょう。ここでは、クラウドサービスを導入するメリットを紹介します。
使いたいだけ使える
クラウドサービスを利用すれば、クラウド上でディープラーニングを実行する環境を使いたいだけ使えます。GPU・CPU・メモリ・ストレージなど、ディープラーニングを実行する環境を自分で設定するには、手間もかかり大変です。
処理速度が速い
クラウドサービスでは、大容量のワークスペース用意されており、処理速度が非常に速いです。大容量のデータを使って膨大な処理を行う際に、メモリ不足で学習できなくなったり、学習時間が大幅に長くなったりする心配がなくなります。
コストを抑えられる
クラウドサービスには、使用した容量だけ課金される「重量課金制」の物が多く、大容量のデータ処理が必要な時以外はコストを抑えられます。ディープラーニングには、大容量のデータを使う段階と使わない段階があります。
まとめ
ディープラーニングとは、ニューラルネットワークを使い、音声認識や画像認識などの分野で活用されています。機械学習に比べて高い精度を実現できることが特徴ですが、入力するデータが大量なのと、演算量が増えることから、GPUのメモリが不足しやすいことが問題です。
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