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White Paper

AIとは何か、どのようなサービスがあるかなどをわかりやすく解説し、
さらに開発するにあたっての、導入方法などをまとめています。

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はじめに

AIの重要性

近年、囲碁のトッププロ棋士にAIが勝利したり、ディープフェイクと呼ばれる著名人の偽動画が政治利用されたりと、様々な形でAI技術のニュースを目にする機会が増えてきたかと思います。こうしたAIに関する情報は皆さんの仕事や日常生活とかけ離れており、あまり自分ごととして感じられないかもしれません。しかし、実際にはすでにAIは皆さんの仕事や生活に直結するものになりつつあります。

図1は産業別のAIによるポテンシャルを示したものです。広く様々な産業において、AIを導入することにより、収益が増加することが分かります。最も影響のある観光分野では7.2%~11.6%の収益上昇が予想されています。観光とAIはなかなか結び付かないかもしれませんが、チャットボットを利用した多言語対応のコンシェルジュサービスなど高付加価値サービスの提供や、ダイナミックプライシングなどを利用した売上向上などが実現可能と言われています。

これからの成長のためには、業界を問わずAIは取り組まなければならない技術になりつつあります。AIを利用することにより、これまでにない新規サービスを創出することができます。例えば、タクシーの座席前にある備え付けのタブレット端末は、性別や年齢などの乗客情報を予測し、乗客に合わせた動画広告を配信しています。これまで人を運ぶサービスを提供していたタクシーの中に、AI利用によってパーソナライズド広告配信という新規サービスが創出されたのです。

また、これまで人が行ってきた作業をAIに代替することにより、既存ビジネスの業務効率化も期待されます。工業製品の外観検査やチャットボットを利用した自動応対など、これまで人が行ってきた業務をAIで自動化するユースケースが出てきています。AIでできる仕事はAIに代替させ、AIでできない仕事を人が集中することで、より高い生産性を実現できると言われています。

図1 産業別のAIによるポテンシャル

AIと
ディープラーニング

AIやディープラーニング(Deep Learning,以下DL)という言葉を耳にする機会はあるかと思いますが、その違いやそれぞれの意味をご存じでしょうか。図2はAIとDLの関係性を包含関係で表したものです。AI(Artificial Intelligence)とは日本語では人工知能と呼ばれ、機械に人間の知能を持たせる技術の総称を指します。人間の知能といっても様々なものがあり、人型ロボットのような場合には、センサーや制御技術等も必要になります。チャットボットの場合には、自然言語処理などの技術が求められます。

AIの中の1つの技術要素として、データから法則を導き出す機械学習という技術があります。DLはさらにその中の1つの技術です。DLは脳の神経回路で行われている情報処理に着想を得て作られた数理モデルです。近年急速に注目を浴びるようになったDLですが、学術的には古くからある手法です。それが急速に発展した背景には、GPU(Graphic Processing Unit)を利用することによる並列演算技術があります。GPUを用いた並列計算により、パラメータが膨大なDLモデルを学習させることができるようになったのです。次に画像認識分野におけるDLによるブレイクスルーの例を示しますが、現在DLはAI技術の中で最も注目されている技術の1つです。

図2 人工知能、機械学習、深層学習の関係性

ディープラーニングに
よる飛躍的な精度向上

図3は画像認識のコンペティションにおける年別の優勝モデルの精度を示しています。横軸がコンペティションの実施年度で、縦軸が予測誤差です。誤差が低いほどよいモデルになります。

2012年以前は画像処理などを利用した従来型の機械学習が利用されており、あまり大きな精度改善も見られませんでした。それが2012年を境に優勝モデルはDLにとって代わり、精度も年率50%に迫る勢いで改善されてきました。画像認識分野においてDLが大きなブレイクスルーになったことが分かります。2015年には人の認識誤差をも上回る精度を達成し、2017年には本コンペティションが画像認識技術の向上に一定の役割を果たしたということで終了しました。

この結果を受けて、様々な分野の開発者や研究者がDLに取り組み始めました。DLはあくまでデータから法則を学ぶための手法であり、画像に限らず様々なデータを取り扱うことができます。近年スマートフォンなどの音声認識精度が急激に向上した背景にもDLの利用があります。音声認識だけでなく、自然言語処理や自動翻訳など、様々な分野において、DLによる精度向上が見られます。

もともとも画像認識において着目されたDLが他分野へ短期間に波及した背景には、DLの基本的な考え方が従来型の機械学習と比較してそれほど難しくないということがあります。また、DLモデル開発の支援をする様々なソフトウェアやサービスがリリースされたこともあり、いまやDLは多くの人が簡単に利用できる技術になりました。

図3 画像認識コンペティションのモデル精度改善

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