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White Paper

AIとは何か、どのようなサービスがあるかなどをわかりやすく解説し、
さらに開発するにあたっての、導入方法などをまとめています。

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ディープラーニングのモデルを作るとは

DLモデルの開発

実際にDLモデルを作るということはどういうことかを、ここでは説明していきます。DLモデルの開発は大きく分けて、データセット準備とDLモデル学習の2つがあります。

データセットとは入力データと出力データのペアのことです。データセット準備では、画像や時系列データ、SNSデータなどモデルを作るためのデータを収集し、それをもとに入力と出力のペアを作ります。例えば、製品の異常検知であれば、収集した製品画像のそれぞれに対して、正常/異常という出力ラベルを準備します。

DLモデルはネットワークとパラメータに分解できます。第1章でDLが脳の情報処理に着想を得ていると書きましたが、ネットワークとは脳神経の回路図で、パラメータとはその上の抵抗値のようなものです。

DLモデル学習とは目的に合わせたネットワークを構築し、パラメータをランダムにセットしたうえで(学習前DLモデル)、準備したデータセットを用いてパラメータを最適化する作業です。この作業を学習と呼びます。パラメータが最適化されていくことにより、データセットの入力と出力の間にある規則が学ばれ、入力データに対して正しい出力データを作り出すことができます。こうして作られた学習済みDLモデルがAIとなります。

図4 DLモデル学習

DLモデルの機能
(分類と回帰)

DLモデルの機能として最もシンプルでイメージしやすいものに、分類と回帰の2種類があります(図5)。分類とは入力データをグループ分けする機能で、入力データに対して該当するカテゴリを出力します。回帰が入力データから数値を予測する機能で、入力データに対して数値データを出力します。分類も回帰もあくまで出力データの形式で区別しているだけで、入力データは画像、時系列、構造化データ、それらの組み合わせなど、どのようなものでも問題ありません。出力データを予測するのに必要な情報を入力データとして準備をします。

図5 回帰と分類の例

DLモデルを使った
ユースケース

これまで、DLモデルの開発や簡単な機能について説明しました。ここでは具体的なユースケースを見ていきたいと思います(図6)。近年では様々な業界でのAIの利活用が見られ、農業などAIと遠いと思われる業界でも利用されています。

農薬の自動散布は、生産者の労働負荷の軽減にとどまらず、ドローンの撮影画像からAIが害虫被害の箇所を定量的に把握し、被害箇所にだけ農薬散布をすることで、全体の散布量が減少し、残留農薬不検出を実現しました。このようにこれまで経験で判断してきた業務の定量評価でAIを利用するケースは増えつつあります。農業だけでなく、いわゆる職人の暗黙知をAIで代替することは様々な業界で見られます。

路面状況の目視点検の自動化は、これまで作業員が目視確認していた路面状況を、車載カメラの画像からAIによりひび割れ率を自動算出します。これにより、低コスト・広範囲の点検作業を実現しました。このように作業量が膨大な場合にはAIによる自動化はスケールアップやコストダウンという観点で最適なソリューションでしょう。

中古マンションの売価予測はこれまでに蓄積された膨大な不動産売買情報をもとにAIを作成し、人が行うよりも正確な予測を実現しました。これはAIによる精度改善を利用したサービスにあたるでしょう。他には医療画像診断など、AIが人の精度を上回ることを利用したユースケースも増えつつあります。このように様々な業界や利用目的でAIは活用されています。

※弊社事例と「地方自治体におけるAI・ロボティクスの活用事例(総務省)」をもとに作成

図6 AI・ディープラーニングを用いたユースケース事例

ここまでユースケースを紹介してきましたが、ここからはそのようなユースケースを実現するために必要なDLモデルの機能とデータセットについて説明していきます。

DLモデルにどのような機能を持たせるかは、どのようなデータセットで学習をさせるかで決まります。実現したいDLモデルの機能と、それを実現するために必要な入力と出力のデータを整理すると、DLモデルの開発の方向性が明確になります(図7)。前節では出力がカテゴリや数値の例を紹介しましたが、DLでは出力のフォーマットも自由に設定することができ、テキストや画像などを出力することも可能です。まずはDLモデルを使ったサービスを作る第一歩として、データ検討から実施されてはいかがでしょうか。

図7 ディープラーニングを用いたユースケースとその入出力データ

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